MENU

希望燃ゆ 諏訪の里

希望燃ゆ 諏訪の里 [第4回] 2.吹雪と吹止柵(ふきどめさく)

吹雪(ふぶき)
2014(平成26)年に実施された住民意識調査の中で、諏訪地区の「住みにくさ」の要件の一つに「吹雪」があげられている。
逆に「吹雪こそ地域の財産」という意見が少数だがみられる。
言うまでもなく「吹雪」は、降雪中の雪や積雪した雪が、強い風によって空中に舞い上げられて、視界が損なわれている気象状態である。
降雪がない場合、降雪がある場合でも空中に舞っている雪の大部分が積もった雪に由来する時は「地吹雪(じふぶき)」と呼んでいる。
舞い上げられる雪の量は,気温が低いほど,また風が強いほど多くなる。
「激しい吹雪」の時は、雪によって視界を遮られる。
時には、視野が真っ白となったりする。
見通しがきかないことで、交通機関の通行・運行に影響が出る。
地形、積雪等の風下側では、風が淀み舞い上がった雪が堆積する。
これを吹き溜まりと呼ぶ。
道路除雪で路肩に寄せられた雪山に起因して短時間に深い吹き溜まりができることがある。
視界不良の上、この吹き溜まりに乗り上げることで立ち往生する自動車が時々見られる。

参考】気象庁では、風速10m/s未満を「風雪」、風速が10m/s以上の風を伴うものを「吹雪」、風速が15m/s以上の時は特に「猛吹雪」と呼ぶ。

吹雪・地吹雪の気象条件
高田平野の地吹雪は関川の東岸、とりわけ海岸線にほぼ平行な路線で激しい。
一冬に2~3回程度は、道路交通を遮断するような猛吹雪となる。
高田方面から戸野目、三王、四辻町までは通行できても、そこから左折後の状況は大きく変わる。
視界がほとんどなく、吹き溜まりに突っ込んだ自動車が立ち往生する場面が毎年みられる。
このような気象条件を諏訪地区内で観測したデータはない。
主要地方道「新井・柿崎線」の柿崎区馬正面から上越市下稲塚の青柳高田線との交差点間が交通止めになった2012(平成24)年2月2日16時~19時30分の大潟観測点での気象状況は下表のようであった。

交通止めとなる前の12時から15時40分の気温は0.2℃~1.6℃、最大瞬間風速は15.7~20.0m/s、風向は西または西北西、西南西と西寄りだったのに対し、交通止めとなった時間帯では、気温は多少低く、最大瞬間風速は最大でも16.6m/s、多くは10.0m/sと弱まっている。
風向は西よりから北寄りに変わってきている。
地吹雪による交通への影響は、低温・強風とともに風向が大きく影響しているのである。
吹止柵、吹払柵の設置 吹雪・地吹雪対策として1970(昭和45)年頃から試験的に仮設式吹払柵が設けられている。
吹止柵・吹払柵は、経験上または上記データのような資料に基づき、海岸線にほぼ平行する道路の西側(海側)に設置される。
歩道の有無、道路との距離、吹き込み方などで工夫が重ねられ、近年は自立式吹止柵・吹払柵が設置されている。北陸地方建設局による恒久的吹止柵・吹払柵の整備開始は、2002(平成14)年頃の新井・柿崎線、国道253号青野付近への設置が最初だという。
主要地方道上越・頸城・大潟線の「上真砂―鶴町間」1.1キロメートルに地域高規格道路(三和道路)の関連工事として新しく道路が付けられ、2007(平成19)年7月20日に供用が開始された。
この道路建設・供用開始に合わせて、総延長892メートルの「自立式吹止柵」が設置された。
吹止柵は、風下の吹溜りを生じさせにくいようにした柵である。
柵の設置は、観測点、測候所などの資料を基に位置を勘案したデータに基づいて形状を決定する。
設置された吹止柵は、夏期の景観に配慮した「下部収納式吹止柵」で、ウインチで防雪板を一括して収納できる。
石川県金沢市で製作されたものである。
柵のあるところと道路の交差点等、柵の切れ目での地吹雪の激しさを比べると、その効果の大きさが実感できる。

※ 引用・参考 ・ 『平成24年上越地域整備部管内の豪雪の記録』pp.11-12 新潟県上越地域振興局地域整備部、妙高砂防事務所(2012.8.31) ・ 吹払柵は、柵の間から強風を取り込み、雪を吹き飛ばすもので、主に歩道のないところに設置される。吹止柵は、柵の風下に拭き溜まりを作りにくくするもので、歩道がある道路の設置されることが多い。