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希望燃ゆ 諏訪の里

希望燃ゆ 諏訪の里 [第5回] 3.集落と自然堤防

飯田川の流路
飯田川は、牧区菅に源を発し、丘陵部を過ぎるあたりから扇状地を形成しながら流下し、三和区を過ぎるあたりから蛇行流路となり、諏訪地区に入ると一層激しく蛇行しながら北流して、保倉川に合流する。
蛇行流路は、古来より多くの洪水を発生させ、繰り返し流路を変える中で、自然堤防を形作ってきた。


[図3-1:自然堤防の分布から類推できる旧河道]
(上越市史第1巻通史編 自然編)

自然堤防の分布をもとに旧河道を類推すると上図(図 3-1)のようになる。
高田平野東部は、保倉川、飯田川、桑曽根川、櫛池川、重川、戸野目川、関川が縦横無尽に乱流していた跡を垣間見ることができる。
飯田川の流れの跡として、米岡-米岡新田-上真砂-南・北新保へと続くライン、米岡-北田中-諏訪-高森へと続くライン、現在の上真砂-杉野袋-飯塚-川端へと続くラインなどが類推できる。


[図3-2:自然堤防の広がり]

自然堤防上の集落
姿を変える流れと流れによって形作られた自然堤防は、集落を立地させ、そして移転・消滅の舞台となってきた。
地形図と遺跡の分布を重ねてみると、遺跡のほとんどすべてが自然堤防上にあることが分かる。
今日の集落の多くは、自然堤防上に位置している。
洪水から身を守るためには、僅かな高さの違いも大切な条件となっていたのだろう。


[図3-3:自然堤防の分布とほぼ一致する遺跡分布]

◇平野とは、山地に対して、低く平らな広い地形のことをさす地理用語。山の中の平らな所は盆地または高原という。
・堆積平野は、河川などが運んだ堆積物が積もってできたもので、成因によって「沖積平野=河川の働きによるもの」「海岸平野=沿岸流や波によるもの」「風成平野=風の働きによるもの」に分類できる。
・浸食平野は、河川などの浸食により土地が削られてできたものをいう。

◇自然堤防は、氾濫原を流れる河川の両側に自然に形成された堤防状の小高い地形をいう。
洪水時に運搬されてきた土砂が流路の両側に堆積したもので内側は急に、外側はゆるく傾斜し、数m内外の比高をもつ。
堆積平野の中央部に形成されることが多い。

※引用・参考
・『上越市史 資料編1 自然』p.9(図;自然堤防の広がり、遺跡分布)
・『上越市史 通史編1 自然』上越市(2002.3.31)