希望燃ゆ 諏訪の里
希望燃ゆ 諏訪の里 [第1回]
希望燃ゆ 諏訪の里2020.12.07
2016年に諏訪地区の皆さんが協力して作成をした、「希望燃ゆ 諏訪の里」が発刊されました。
このたびこの冊子の内容を「里づくりだより」コーナーで紹介させていただくことになりました。
第1回は、「表紙」「表紙中」「凡例」「発刊に当たって」の4ページ分を掲載しております。
なお、日付等は掲載された当時のものとなっています。
■表紙
題字は、星野直美氏(上越教育大学職員)に揮毫いただいた。
大規模ほ場での稲刈り(2015年9月)。
後方に稲架木道が見える。
関田山地は、雲に覆われている。
陶淵明の漢詩「及時當勉勵 歳月不待人」は、およそ次のことを意味している。
人生は、永久不変の常住の地をもったものではない。むしろ偶然集まった同士こそが兄弟なのだ。
歓ばしいことがあれば、僅かな酒でも酌み交わして、集いて楽しみたいものだ。
盛時は戻ってこない。だから、その時を逃がさないで力いっぱい励むべきだ、歳月は私たちを待ってはくれない。 この謙吉翁揮毫の扁額「及時當勉勵 歳月不待人」は、現存しない。
謙吉翁は、この頃中国特命全権公使に就任(1923-1929)していた。
まさに「及時當勉勵 歳月不待人」の時代だったのだろう。
< 凡 例 >
・諏訪地区を理解するための「地区民副読本」をイメージして作成した。
・関心のある項目を、どこから開いても良いように配慮した。このため、多少の内容の重複がある。
・多くは参考文献をもとにして作成した。『上越市史』、『高田市史』、『新編中江用水史』及び隣接自治体だった『三和村史』に依るところが大きい。また、公文書センター保存の諏訪村関係資料を参照した。
・西暦を原則としている。必要に応じて和暦(元号)をカッコ内に示した。
・文中の氏名について、敬称は原則的には省略した。また、調査でお話しをうかがった皆様の敬称についても省略してある。
・各項目、見開き2ページまたは4ページを目指したが、その限りでないものもある。
・写真を多く使用するように努めた。古い写真で、掲載のお願いがされていないものもあるが、本誌作成の趣旨をご理解いただきご容赦いただきたい。
・町内会で取り上げた分量、内容に違いがあるが、ご容赦願いたい。
・誤字脱字、表現の誤り、内容の捉え違いなどについてお気付きのことは、ご連絡いただきたい。他日を期して、訂正したい。
■発刊に当たって
白居易(白楽天)の漢詩「勧学文」に示されている「有田不耕倉庫虚 有書不教子孫愚」という言葉を、昭和3年11月に芳澤謙吉翁は上千原校(現北諏訪小学校)に贈っています。
「有田不耕倉庫虚 有書不教子孫愚 倉庫虚兮歳月乏 子孫愚兮礼儀疎 若惟不耕与不教 是乃父兄之過歟」の冒頭の部分を表したものです。
この漢詩の意味は、なんとなく分かるような気がします。
結論的には、「大人が働く姿勢、学ぶ姿勢を持てば、農村も子孫も大いに栄える」ということだと言えます。
当諏訪地区の人口減少、65歳以上人口比率の増大は、いかに全国的な「少子高齢化社会」の中とは言え、その進行は大きなものがあります。
10歳未満人口比率は、既に10パーセントを下回っています。
稲作はじめ地域の産業の見通しが必ずしも明るいものといえない中で、高度経済成長を経験した世代にとっては勿論、多くの皆さんが大きな閉塞感を感じられておられるのではないでしょうか。
私たちは、郷土の中で成長し、長い間に知識、意思、そして感情も作り上げられるのだと思います。
郷土の風土が、私たちを育んでいるのだと言えます。
郷土は、古(いにしえ)からの長い歴史を持っています。
上越三和線予定地での遺跡発掘調査では、多くの遺物・遺構が掘り出されています。
また、地域には歴史を紐解くカギとなる多くの事象、文書が残されています。
近年の生活環境の変化は著しく、地域間交流が日常となる中、「地域意識」さえも時として希薄となっているようにさえ感じています。
私たちは、どこに立ち位置を置いたらよいのか、価値基準を育んだのは何だったのか、改めて捉え直し、学び直す必要があるのではないでしょうか。
意識して見渡せば、「希望燃ゆ 諏訪地区」へのヒントを内包した多くの事実・事象を見つけることができます。
諏訪村閉村、諏訪地区60年にあたり、改めて郷土のあらましを知る・・・長所も短所も捉えた上で、ぜひ丸ごと郷土「諏訪」を愛し、希望に燃える生活集団としての「諏訪地区」を作り出していきたい、そんな願いをもって本書を作成いたしました。
ここで示したことは、長くて厚い郷土の営みの、ほんの一部にすぎません。
この書の記述を手がかりに、身近な地域を見つめ直していただきたいと思います。
地域理解は、地域を愛するための第一歩となるものと確信しています。
本書の企画を発案された諏訪の里づくり協議会前会長川上義人様、編集・執筆に尽力された寺田喜男様ほか関係者の皆様、快く調査、資料提供にご協力いただいた多くの皆様、関係機関に衷心より感謝申し上げ、本書が「地域住民の副読本」として大いに参考にされることを期待してご挨拶といたします。
< 2016年2月1日 諏訪の里づくり協議会 >